今回は「技術者倫理」について説明します。
多くの方から技術者倫理について解説してほしいというリクエストもありましたので
今回はこの技術者倫理について解説していきます。
技術者倫理は必須問題Ⅰ、口頭試験で必ず問われるので、必ず押さえておきたいワードです。特に筆記では必須問題Ⅰで問われますので、ここを落としてしまうと選択問題の評価が高くても即不合格です。しっかり押さえていきましょう!
技術者倫理と聞くと硬いイメージがあって苦手・・・という声を聴きます。
実際はそんなことはないです。技術者倫理は技術士を受験されるような経験豊富な方であれば、業務の中で自然と実践していると思います。また、言葉として漠然としているので何を書いたら良いかわからない・・・と人によって捉え方が変わって迷ってしまうことが考えられます。これは技術士会が定義している技術者倫理の定義をしっかり把握しておけば大丈夫です!
今回の記事を見ていただければ、こうした悩みを解決でき技術者倫理を問われても自分の言葉で解答できるようになります。ぜひ最後までみていってください!
まず、技術者倫理の定義を抑えていきましょう。
技術士会は提唱する技術者倫理の定義はコチラです。
・業務遂行にあたり、公衆の安全、健康及び福利を最優先に考慮した上で社会、文化及び環境に対する影響を予見し、地球環境の保全等、次世代に渡る社会の持続性の確保に努め、技術士としての使命、社会的地位及び職責を自覚し、倫理的に行動すること
・業務履行上、関係法令等の制度が求めている事項を遵守すること
・業務履行上行う決定に際して、自らの業務及び責任の範囲を明確にし、これらの責任を負うこと
これだけ見ると非常に固くとっつきにくいですね。
ただこの定義から要点を絞るとこのように4点に絞られます。
技術者倫理
・公衆の安全、健康、福利を最優先に考慮
・地球環境の保全等、次世代に渡る持続可能性の確保
・関係法令を遵守すること
・説明責任を負うこと
これだけです。
技術者としては至極当然のことかと思いますが、言葉にするとこんな感じか~といった印象ですね。
令和元年度に実際に出題されたのは技術者としての倫理、社会の持続可能性の確保です。試験後にあんなのが出るなんて、、と嘆く方をお見かけしましたが、しっかり定義された中から出題されています。技術者としての倫理は3つの中から選択、持続可能性の確保はそのままですね。要はこの定義をしっかり自分の中に腹落ちさせておけば怖くないです。
令和元年度の私の答えを見出しだけ紹介します。
技術者としての倫理:法規の遵守など(海外への工場展開)
社会の持続可能性の確保:知的財産権の確保
これを見てどう思いますか?良い解答だと思いますか?勘の鋭い方は気付かれたかもしれませんが、技術者としての倫理は先ほどの4点の一つを記述してます。しかしながら、持続可能性の確保の部分は、知的財産権の確保という狭い言葉を採用してしまったのです。試験後に、再現論文を作成しているときに初めて自分でも違和感を覚えまして、こうすればよかったかも、、、と反省したのを良く覚えています。なぜ私がこのような話をしているかというと、必須問題Ⅰの解答は口頭試験で聞かれる可能性があります。そしてわたしは案の定、試験官からこのような質問を受けました。この知的財産権について持続可能性の確保の観点では少し狭義ではないか?自問自答して反省しておいて本当によかった!と思いましたので皆さんも最後まで油断をせずに、しっかり技術者倫理の定義であてはめて解答されて自信を持って口頭試験に挑まれると良いと思います。
ちなみに自問自答して私が導いた答えは下記です。
技術者としての倫理:法規の遵守など(海外への工場展開)
社会の持続可能性の確保:資源が循環するシステム構築(リサイクル技術の確立)
↑(地球環境の保全の観点)
反省していた答えを試験官に伝えると試験官は大きく頷いていました。
ここで一つ注意点があります。受験者あるあるですが
技術者倫理と技術士倫理綱領(10箇条)は同義ではありません!
技術者倫理について問われているのに、技術士倫理綱領について答えている方をよく見かけます。これは試験官には技術者倫理の定義を明確に理解していないなと1発でばれてしまう行為ですので、要注意です。確かに技術士倫理綱領の中にも持続可能性の確保など技術者倫理の要点の言葉が入っていますが、継続研鑽などのワードは技術者倫理にはありません。一気に不合格とまでは言わないですが、減点要素には十分なり得ますので注意なさってください。
それでは、まとめに入っていきます。
技術者倫理とは以下の4つのことです。
・公衆の安全、健康、福利を最優先に考慮
・地球環境の保全等、次世代に渡る持続可能性の確保
・関係法令を遵守すること
・説明責任を負うこと
このワードを基本として自身の業務や技術に当てはめて解答されると良いです。
口頭試験でも聞かれる重要なポイントですので、後悔のない解答を心掛けてください。
そして重要な注意点としては、技術者倫理と技術士倫理綱領は同義ではありません。
十分に定義の違いを理解しておいてください。以上です!